2018年3月2日(金)

「市民活動交流会 子ども・未来・まちづくり」を開催しました!


第2回目となる「市民活動交流会 子ども・未来・まちづくり」を開催しました。コーディネーターとして立命館大学産業社会学部の永橋爲介先生が進行してくださり、話しやすい雰囲気の中、参加者は12名と少人数ながら、共に学び、情報交換や思いを共有する有意義な場となりました。

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前半は、一般社団法人コアプラス代表理事の武田 緑さんに「子どもが幸せなまちをつくる ~北芝地域での事例から~」というテーマでお話いただきました。

 

武田さんは4年ほど前まで大阪府箕面市にあるNPO法人暮らしづくりネットワーク北芝に勤務されていました。北芝では地域外の人や新しい情報を受け入れ、地域外の人と一緒に地域を盛り上げていっていました。武田さんも、学生の時に北芝を訪ねてから活動を

始められたそうです。武田さんはサポートが必要な家庭を訪問して、親や先生とやり取りしながら子どもたちの支援をされました。進路の話の中での「大人になったらキャバクラかガールズバーで働く」という女の子の話から、子どもたちが地域で生活したり学校で学ぶ中で視野を広げ、働くイメージを広げていけるようにすることが大切だと思われたことが活動の原点だったそうです。

 

武田さんは芝生広場でコンテナを改装してつくった「駄菓子屋」に遊びに来る子どもたちの様子から、その子が置かれている状況や問題・課題に気付かれ、その子どもに合ったプログラムに繋げていきました。プログラムの一つであるこども通貨「まーぶ」は北芝で生まれた地域通貨。お祭りの飾り付け、ニュースレターのポスティングなどの仕事をすると「まーぶ」を得ることができ、協力店でお金の代わりに使うことができます。

 

北芝では、「この子、気になる」という子がいれば「この子に来てほしいからこの事業をやる」という形で取り組んでこられましたが、「まーぶ」が出来てから、そうした子をキャッチしやすくなったそうです。子どもたちは地域に貢献して、お礼を言ってもらう経験をすることができます。

 

子どもの力が地域に良い効果を与えています。決して子どもは支援される立場だけではありません。「まーぶ」はセーフティネットの機能も果たしています。それまでは、例えば「昼ご飯を持って来ることができない子どもにこっそりご飯をあげる」という状況だったのが、「まーぶ」が出来てから、当たり前のこととして自分で稼いだ通貨で食事できるようになっています。
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後半は全員参加型の意見交換会を行いました。パネラーとして武田さんに加え、当センターがある千本地域で子どもに関わる取組を進めておられる3名の方々-石角(いしずみ)美帆先生(楽只児童館)、塚本真弓先生(楽只保育所長)、三宅真一さん(NPO法人くらしネット21、佛教大学)に登壇していただきました。

 

石角先生、塚本先生、三宅さんから、武田さんの話を聞かれた感想と、それぞれの組織での取組の紹介をしていただきました。石角先生からは、児童館には5つの校区から障害のある子どもも多く通って来ていることや、地域の高齢者と接する中で地域や文化について学んでいこうとする取組などが報告されました。塚本先生からは、支援の必要な子どもを積極的に受け入れている話や、民生委員など他機関との連携、保育士が家庭を訪問する事業など様々な保育の取組、北区全域でのしんどさを抱える親や子どものアウトリーチの取組などの紹介がありました。三宅さんは、ひとり親家庭のサポートの取組紹介をされ、学校や家に居場所が無い子だからこそ第三者から認められることが大切で、一人一人を大切にしたいといった思いを話されました。武田さんの話の感想としては、パネラーの皆さんから、「子どもが自己有用感、自己肯定感を持つことができ、いいなあと思った」、「自分も子どものひとつひとつの行動から、子どもが抱える課題に気付いていきたい」といった話が出されました。

 

会場からは、所属されている機関での取組の紹介や、「まーぶ」についての感想などが出されました。

 

千本地域の取組について、武田さんからは「佛教大学が近いのはすごく良い。地域と大学とのつながりの蓄積がある。千本には障害のある子が多く、地域のなかに多様な子がいるということが見えやすい。『いろんな子がいて当たり前、配慮するのも当たり前』

ということを学ぶことができる」といった感想を話されました。

 

最後に永橋先生が、「武田さんからは、もともと北芝は外とつながっていた中で、しんどさを抱える子どもたちが「まーぶ」等の取り組みを通してモチベーションをアップさせ、更に気持ちの良いつながりを作っていっているというお話を伺った。千本地区では小学校が吸収合併され、地域としても寂しくなってしまうが、千本地域には外の地域からも障害をもった多様な子が通ってきていて、地域の中にこのような専門性、対応力があり、ものすごく大事な財産だと思う。千本は北芝とはまた違う形で外とつながっていく重要な役割、能力があるのではないか。これまで築き上げてきた専門性や地域のつながりにより、外から沢山の人が地域を訪れ、地域が輝いていく可能性がある。もう一つの千本の財産は佛大などの大学との協働。さらに地域ならではのすごさは、ここで育ってきた子が大きくなるまで皆で見ていけるということ」と感想を述べられました。
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来場者からは、「子どもが輝けるまちづくりのヒントが得られて良かった」、「石角先生初め三宅真一くん、各先生、学生さん、一人一人のお話が胸にきざまれました」、「永橋さんのコーディネートが良く皆が話しやすい雰囲気だった」といった感想をいただきました。


ご登壇いただいた皆様、ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。